我が國における中小企業?小規模事業者の地位
全企業の99%を占める中小企業?小規模事業者
わが國では、全企業の99%を中小企業?小規模事業者が占め、全従業員の約70%が勤務するなど、中小企業?小規模事業者は日本経済の活力の源泉であり、地域経済を支える大きな存在です。
- (資料)
- 総務省?経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査」を
中小企業庁が再編加工したものです。
全企業の99%を占める中小企業?小規模事業者
わが國では、全企業の99%を中小企業?小規模事業者が占め、全従業員の約70%が勤務するなど、中小企業?小規模事業者は日本経済の活力の源泉であり、地域経済を支える大きな存在です。
國內中小企業?小規模事業者の3割以上が支援先
一口に中小企業?小規模事業者と言っても、そこには多くの従業員を雇用し地域の経済を支えている企業、創業百年を超えるような老舗企業、家族で経営する個人商店など、その規模?態様は実に様々です。中小企業事業では、これら多様な中小企業?小規模事業者に対して、融資、信用保険、証券化支援といった多様な金融手法を活用しながら、それぞれの企業に見合った形での幅広い支援を行っています。
中小企業事業は、中小企業?小規模事業者のうち約122萬社(約34%)の資金繰りの円滑化に貢獻しており、また、中小企業?小規模事業者向け貸付殘高のうち約9%を占めています。
平均融資額約80百萬円、平均保険引受額18百萬円
(注)実績は、令和2年3月31日現在のものです。
中小企業事業のお取引先(直接貸付先)4.3萬先の従業員は約261萬人(平成31年3月31日現在)に上っており、 雇用の維持にも貢獻しています。
676先の取引企業が株式を公開
中小企業事業は、中小企業専門の政策金融機関として、中小企業者の皆さまの成長?発展を支援しています。これまで中小企業事業との取引を経て、株式の公開を果たした企業は、株式公開企業の約2割にあたる676先(注)となっており、多くの方々がわが國を代表する企業として活躍されています。
平成元年以降についても、中小企業事業との取引を経て株式を公開した企業は503先(注)と株式公開企業の約2割を占めています。
(注)先數は令和2年3月31日現在において株式を公開している企業數です(上場廃止、合併による消滅等を除く)。
長期資金を専門に取り扱っています
中小企業者が円滑に成長?発展していくには、適時的確な設備投資の実施と継続的な財務體質の強化が必要であり、このため長期資金の安定的な調達が不可欠です。
しかし、一般的に中小企業者は大企業と比較して資本市場からの資金調達が困難であるなど、資金調達の手段が限られています。
中小企業事業では、長期資金を専門に取り扱っており、融資の過半が期間5年超の長期資金で、すべて償還計畫が立てやすい固定金利となっています。
中小企業事業は、民間金融機関を補完し、わが國経済にとって重要な役割を擔う中小企業者の皆さまの長期資金ニーズに応えています。
事業資金を安定供給
中小企業事業の融資の伸びは、リーマン?ショック後の景気低迷期などには高く、逆に景気回復期には低下しています。
中小企業事業は、民間金融機関を補完するという見地から、中小企業者の皆さまに事業資金を安定的に供給しています。
中小企業事業は、擔保力や信用力の乏しい中小企業?小規模事業者が金融機関からの借入または社債の発行などにより事業資金調達を行う際に、信用保証協會が行う債務の保証(信用保証)について保険を行っています。信用保険制度は、中小企業?小規模事業者の振興を図ることを目的として、中小企業信用保険法(昭和25年法律第264號)などに基づき、中小企業?小規模事業者の借入などの保証について保険を行う制度です。この信用保険制度と信用保証制度が一體となって機能することにより、中小企業?小規模事業者に対する事業資金の供給の円滑化が図られています。このような仕組みは「信用補完制度」と呼ばれており、國の中小企業金融政策の重要な一翼を擔っています。
令和2年3月末現在、信用保証協會が保証している融資など(保証債務殘高)は20兆円で、中小企業向け貸出しの7%が信用保証制度の利用によるものとなっています。
信用保証制度は118萬先の中小企業?小規模事業者の皆さまに利用されており、中小企業の33%が信用保証制度を利用して資金調達を行っていることになります。信用保険制度は、このような保証について保険を行うことで中小企業?小規模事業者の皆さまの円滑な資金調達を支えることにより、経営の安定と事業の成長?発展に貢獻しています。
わが國の政策金融は、新事業育成、事業再生、事業承継、海外展開など、リスクが高い分野に対して、國の重要な政策に基づいた金融支援を行っています。
中小企業事業は、これらの政策に基づき、中小企業者専門の政策金融機関として民間金融機関を補完しながら、金融を通じて中小企業者の成長?発展をサポートするとともに、セーフティネットの機能も果たしています。
新型コロナウイルス感染癥に関連する融資の決定実績は、令和2年9月末までの累計で33,974件、3兆4,505億円となりました。昨年度の事業資金の融資件數(19,521件)、融資金額(1兆1,474億円)を大きく上回っています。
ベンチャー企業など、高い成長性が見込まれる新事業に取り組む中小企業者を支援する特別貸付「新事業育成資金」に積極的に取り組んでいます。同資金には、株式公開を目指すベンチャー企業などを対象として、企業が新たに発行する新株予約権を中小企業事業が取得することにより無擔保資金を供給する制度もあります。
さらに、新事業の取組みに必要な安定資金の確保と同時に、財務體質の強化を図ることができる「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」を適用した支援も行っています。本特例による債務の一部は、金融検査上自己資本とみなすことができ、民間金融機関との協調融資の「呼び水」効果が見込まれています。
中小企業事業では、6,952先のお取引先現地法人等が海外で活躍しており、中小企業者の皆さまの海外展開を支援する海外展開?事業再編資金、スタンドバイ?クレジット制度による資金調達支援に取り組んでいます。また、海外展開しているお取引先の多い全國30拠點に「海外展開支援推進擔當」を設置するなどサポート體制を構築しています。
さらに、現地での資金調達を支援するため、平成24年度からスタンドバイ?クレジット制度の取扱いを開始し、海外金融機関との業務提攜を行っています。
スタンドバイ?クレジット制度は、中小企業者の海外現地法人等が、日本公庫の提攜金融機関から現地流通通貨建て長期資金の借入を行う際、その債務を保証するために日本公庫がスタンドバイ?クレジット(信用狀)を発行することで海外での円滑な資金調達を支援するものです。提攜金融機関はアジアを中心に、令和2年3月末時點で15行となっています。
中小企業事業は、事業の再生や経営再建に取り組む中小企業者の皆さまを支援する特別貸付「企業再生貸付」に積極的に取り組んでいます。
全國の中小企業再生支援協議會が令和2年3月末までに再 生計畫策定支援を完了した15,185先のうち、中小企業事業 は2割を超える3,301先の 支援に関與しました(令和2年3月 末時點の累計実績)。
平成30年4月より、経営再建に取り組む中小企業者を対象として、シンジケートローン(注)により民間金融機関と連攜し、合意した條件で融資する特例(シンジケートローン特例)の取扱いを開始しました。
また、後継者不在の企業のM&Aや、安定的な経営権確保のための自己株式取得など、事業や企業の承継?集約に取り組む中小企業者を支援するため、特別貸付「事業承継?集約?活性化支援資金」による支援を行っています。
(注)シンジケートローンとは、借入人に対し、複數の貸付人(銀行等)が同一契約書に基づき共通の條件で行う貸付け。
中小企業事業は、融資?証券化支援?信用保険の多様な機能と長年にわたり培った審査力、全國約4.4萬先の顧客データベースに基づく情報を活かし、「創業?新事業支援」「海外展開支援」「早期事業再生支援」「事業承継支援」「証券化支援」「経営相談支援」「人材育成協力」の分野で民間金融機関と連攜して、中小企業者への金融円滑化等に取り組んでいます。具體的には、民間金融機関と緊密な情報交換を行い、新事業案件や再生案件における資本性ローンを活用した協調支援、マッチングイベントや海外展開?事業承継セミナーの共催などに取り組んでいます。
中小企業事業は、「公庫のDNA」(①財務書類の精査、②お客さまとの対話、③現場に足を運ぶこと)を発揮し、「往診型ホームドクター」として、対話を通じて個々の企業の経営課題を把握し、お客さまが発展していくために必要な情報の提供や、経営に関するアドバイスを継続的に行っています。
當事業では、長年蓄積してきた中小企業経営に関わるノウハウや全國約4.4萬先のお客さまの情報をデータベース化した獨自のシステムを構築し、顧客支援サービスに活用しています。
當事業の提供する情報は、個々の企業のニーズに応じた、いわば“オーダーメイド”の情報であり、このような「生きた情報」の提供と目利き能力を活かしたアドバイスにより、中小企業者をバックアップしています。また、ご相談內容に応じて、連攜する外部専門家への橋渡しも実施しています。